マーケティング技術者の過去
何よりも先に思うのか独立を目指す人が、独立して手に入れられるものを想定するとき「独立すれば自由が手に入る」ということだろう。私自身がそうだつた。とにかく自由になって好きなように生きたかった。
客観的に見れば社長には向いていない、マーケティング技術者の過去を振り返ってみればそれがよくわかる。前に話したこと以外にも「向いていないな」と思うことはたくさんある。勉強は無論のこと、スポーツもまったくダメだった。
先日も、マーケティング会社で東北に借りている農園に、社員人くらいで行ったのだが、そこで、私だけが縄跳びで二重跳びができないことを知って、改めて運動神経のなさにショックを受けたところだ。
そんな些細なことでと思うかもしれないが、こうした些細なこと一つひとつがみずからの自信を失わせるもとになる。ガキ大将になれなかったのも、優等生になれなかったのも、こうした小さな自信喪失が原因になることがあるのだ。
というわけで、私は、わが社の社員がこぞって、私が面接にきたら採用しないと断言するぐらいの人間だ。その私が社長になろうとしたのは、自由への憧れがよほど大きかったからだと言えよう。
実際に社長になり、満員電車やタイムカードから解放され、私は自由を手に入れた。サラリーマン時代のすべての規制から解放されたと思った。決められていた昼休みの時間だけを働く時間にしようと、十二時に出社し、一時に退社したこともある。それまで重いカバンをもって営業していたので、今度は何も入らないような薄いカバンを買ったりもした。
たしかに最初の三ヵ月ぐらいは楽しかった。だが、やがて、「自由」とはこういうこと 「自らハンドルを揖る人生をつかみ取るための心構え」ではないと気づいた。社長業に本気で取り組み始めたのはそれからである。
とにかく、リスクを背負えば自由を得られると思いがちで、自由になりたいために独立するという人がいる。しかし、先述したように、リスクというのは自由になろうとなるまいと、ついてまわるものだ。
みずからの人生に責任をもとうとするのなら、どんな人生であれ、安全な人生はないと思うべきなのである。だから、自由にみずからのやりたいようにやればいいと思う。いずれの人生を選んでもリスクが回避できないのであれば、やりたいことをやる自由を手に入れたほうがいい。
そして、リスクを少なくするためのスキルを、やりたいことで身につければいいと私は思うのだ。安定した幸せな人生を送っているという人でも、晩年になるとほとんどの人が後悔し始めるらしい。
それは生きたいように生きていると思っていたこと自体が、単なる幻想だったという何よりの証拠だ。そうならないために、あなたがみずからの手でっかみ取る自由な人生をおすすめしたいのである
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